「うちは歯科医院(=医療機関)なんだから、歯のこと、口腔のことだけを話し教育するべきだ」
そう考える先生もいらっしゃるでしょう。
でも、それは本当でしょうか?
ただでさえ、行くのがイヤな歯医者に
意を決して来院してくる患者さんも多いはず。
そんな人は、
一刻も早く、
治療(予防などのメンテンナンス・口腔ケアの場合も含めて!)を終えて、
チェアから立ち上がり、
会計を済ませて帰りたいと思っているのです。
そんな心境の時に
あれこれ「小難しい予防の話や口腔ケアの話」、
最新治療の話をしても心に響かないし、
頭にも入ってこないんですね。
その瞬間は、早く帰りたいだけで、
先生や衛生士さんの話を求めていない、
興味が無い状態だから当たり前の話です。
でも、何回か通う中で、
「だいぶ歯もお口もキレイになって来ましたね・・・この調子で頑張りましょうね!」
と励ましながら、少しずつ小出しに
「歯をピカピカにするとこんないいことが起こるよ!」
って話題を伝えていくんです。
(具体的な事例は別の機会に!)
そうすること(何回か会うことや会話すること)で、
患者さんが先生や衛生士さんに心を開き(この状態をラポール形成できていると言います)、
話を聞く態勢が整った後に、
『実はね、歯がキレイになって健康になる基礎が整った●●さんにぴったりのケアがあるんですけど・・(興味あります?!)』
という問いかけをしてあげるだけでいいんです。
「え、それってどんなこと?」
そう思ってもらえるだけで、おしまいです。
いやな「クロージング」、
無理やりな売込みなんて要らないわけです。
患者さんが、自分の歯のこと、予防のこと、
口腔ケアが全身の健康に密接に関わっていることに興味を持ったその時が、
「先生の考える教育」のチャンスです。
そのタイミングを読み取る観察力と我慢が重要になるのです。
そのチャンスは、初診の時に訪れる場合もあれば、
1年後の治療やメンテナンスの時にやってくるかもしれません。
それは、人それぞれの環境や状況・精神状態や気分などによって違うはずです。
日常、よく起こる場面に置き換えて考えてみましょう!
例えば・・・
先生が買い物に行ったショッピングモールに入っている家電量販店に
ふらっと立ち寄ったとしましょう。
特にいまズグ買う必要性もない大型テレビのコーナーが目に止まり近づいてみると、ゴルフの中継録画の映像らしきものが再生されていました。
しかも最近注目していた先生が好きな「イ・ボミ選手」のラウンドの模様です。
自然に惹きつけられて、少し見入っているとすかさず店員が声を掛けてきます。
「このテレビは、100インチの液晶では世界初の●●パネルを採用してまして、
どの角度から見てもキレイな映像が見られるんですよ。これなら2020年の東京オリンピックの時でも十分に・・・」
「そんなこと、今はどうでもいいよ。ゴルフ観たいんだけど・・・」
こんな状況に遭遇したことありませんか?!
もしかすると、先生も患者さんに同じようなことをしているかもしれませんよ。
仕事や子育ての合間に、さっとクリーニングをしてもらいたかっただけなのに、
(クリーニング終了後に)
日曜に参加した最新治療の講座で得た知識をあれこれ話してしまったり、
最近入れた最新機器の自慢話をしてしまったり・・・
「そんなこと興味ないんだけど・・」
ついやってしまいがちなこと、
自分の体験に置き換えてみるとハッと気付かされること、結構多いですよ!