保険治療の患者さんも大切に!継続通院希望ならLTV(生涯獲得金額)や利益は単発の自費より上になることも。
- 2016/1/13
- ブログ, マーケティング基礎用語, 保険診療, 患者心理, 歯科マーケティング
新規患者獲得コストは、既存患者に販売するコストの5倍
新規顧客(歯科の場合は患者さん)を獲得する(1円でも売上を得ること)ために必要なコストは、既存顧客(既存の患者さん)から売り上げるコストの5倍かかると法則があることをご存知ですか?
集客・マーケティング理論では、「1:5の法則」と呼ばれていて、よく知られていることです。
新規にお客様を獲得するために掛かるコストは、既存のお客様の5倍ですよ。
LTV(顧客生涯価値・生涯獲得売上)を考えると、保険治療スタートの患者さんも将来大きな売上や利益をもたらしてくれる可能性が十分にあるのです。
特に「予防型」歯科医院への転換がトレンドになりつつある現在、LTV重視の歯科経営戦略は欠かせません。
一発で自費を取ってしまおうというような考え方では、行き詰まることが間違いないと私は考えています。
だだし、ここで注意していただきたいのは、(毎回書いていると思いますが)初回でも自費を希望されているなら自費の提案とセールスをすべきです。
その患者さんが何を求めているかを読み取り、最適な治療提案(費用・期間)をすることが重要です。
逆に初診時に保険治療スタートでも、何が何でも保険治療しか受け付けないという人ばかりでもありません。
先生や衛生士さんなどの技術や対応、医院の雰囲気が気に入れば、自費治療の提案を受け入れてくれる場合も多いものです。
ただ、それが1回めに訪れるのか、5回めに訪れるのか、10回目に訪れるのか?
それだけの違いなんです。
もしかしたら、5年後や10年後に訪れるのかもしれません。
肝心なのは「信頼関係」(ラポール)が形成された状態で、提案できるかどうかなんです。
同じ患者さんでも、経済状態の変化があるなどそれぞれの事情も絡みます。
お子さんの教育費用で大きな負担があるような状況で、高い治療を提案されても不快に感じるだけです。その患者さんの家庭事情や心理が把握できていないならば、複数の選択肢がある形で提案してみることです。
そして、その時の表情や声のトーン、話し方などから何を希望しているのか感じ取る力は欠かせません。簡単に言うと空気を読むということになるのでしょうね。
スタッフによって、コミュニケーション能力に力量差がある場合は、説明のツールを用意したり、伝え方のトレーニングを学べる環境を用意すべきです。
今後5年〜10年で歯科業界のポジショニングは再編成されます。
中・長期的な視点がない、既存開業医院は経営が苦しくなる可能性が高いでしょう。
大きな流れとしては、
「予防歯科」型への転換と、
より専門特化型へ向かうかのどちらかの道を選択することになるように思います。
中途半端に「何でもできます」的なポジショニング戦略では、患者さんは離れていくことになるでしょう。
これは、他の業界・ビジネスの変遷を見れば明らかです。
そして、ターゲットや地域などを絞ることがマーケティングの基礎でもあります。
もちろん、法改正や保険医療制度改革などの政府政策によっても、その度合やスピード感は変わってくるでしょう。
(医療ですから、他の業界よりも守られる可能性も高いことは有利だと思います)
ただ、ひとつ言えるのは、
新規患者獲得は、今後ますます難しくなり、コストも比例して高くなるということです。
「1:5の法則」が「1:7の法則」になり、「1:10の法則」が常識になったらどうしますか?!
保険患者さんだからといって、嫌がらず、しっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係(ラポール)を構築して、生涯通ってもらえる「ロングテール」な歯科経営をして欲しいと思います。
「●●さん、かぶせもの(クラウン)白くてキレイで丈夫なものもありますけど、どうされますか?・・・」
「今回は、保険でお願いしたいです」
(「チッ・・保険か」)と心の声が患者さんに聞こえてませんか?
患者さんは、思っている以上に敏感に感じます。
将来の大きな売上を逃しているかもしれないということをもう一度考えてみて下さい。
それでは、また。