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- うまく行っている時、平穏な時こそ備えるべき時、いや備えられる時【経営も人生も同じ】
うちは患者さんに困っていないから
予約表は、患者さんのアポでぎっしり埋まっている。
そんな羨ましい先生もいらっしゃると思います。いわゆる繁盛医院ってやつですね。そういう院長先生(歯科医院経営者)に会うとよく耳にするのが、「これ以上、新患が来ても困るんだよね。今でも急患でない患者さんには3ヶ月以上も待ってもらってるくらいだから・・・」という言葉。正直な気持ちであるし、診てあげたくても診てあげられないというのが実際の状況なわけです。
でも、実はこういう時こそ備えるべき時。
何かが起こってからでは遅い
私たちは平穏に日常生活を送っているときは、それが当たり前だと思い込んでしまいます。しかし、人類の歴史を振り返っても長期間何も起こらないということはありえません。
例えば・・
泰平の世と言われていた徳川幕府の江戸時代でも、流行病や飢饉、そして地震や洪水などの天災は起こっています。
天災は医学も科学もめざましく発達した現在でも為す術なく私達の生活を打ち砕くことは、神戸を襲った阪神淡路大震災・同じく東北を襲った東日本大震災を見ても明らかです。なぜ、あんなにひどく、悲しい出来事が起こらなければならないのだろうと、少し思い起こしただけでも心が締め付けられ、苦しくなる程です。
しかしながら、年月を経て人の記憶は薄れ、平穏な生活を取り戻すとその場に居合わせた人たちでさえも記憶が風化されてしまうほどです。これは人間の記憶のメカニズムによるもので、生きていくためには「忘れること」がとても大切なことで、辛いことを忘れられなければ精神がすぐに参ってしまうからだと理解はしています(でも、忘れてはならない記憶のひとつです)。
100年経てば、体験を語れる人はほぼゼロになる
また、人は日本のように平均寿命が高くなった先進国でも、100年生きられることは稀なことです。その結果、地震や水害はもちろん、人間が巻き起こす愚かな戦争でさえも、100年経てば直接的に経験した人の割合はほぼゼロになり、忘れ去られてしまうのです。いまでこそ、高品質な印刷技術やTVやインターネットが普及したため、100年以上経っても状況を伝えることが出来る可能性は高まりましたが、江戸時代ごろまでは、100年前のことを知りうる方法は物語や絵巻の中のお話くらいのものでした。
歯科医院経営だって何十年も順風満帆とはいかない
いま【アポ帳が満杯】でも、3年後、5年後、10年後も今のままの大繁盛が継続していると断言できるでしょうか。
今の時代、極端に言えば明日のことが予測できないと言っても過言ではありません。
人気絶頂のアイドルグループや芸能人が、何が真実か分からないネタで姿を消したり、行列をなすほどの人気店がFacebookやツイッター、LINE、インスタグラムなどのSNSの投稿ひとつで閉店に追い込まれたりと、一昔前では、ありえないことが一夜にして起こる時代です。SNSが革命を誘発して、国が変わるキッカケになることもあるくらいですから、ひとりの芸能人やひとつの人気店舗が一夜にして没落してしまうことはそんなに驚くことではありません。
良いときだからこそ準備が出来る
何かが起こってから対応を考えても時すでに遅し。
ちょっと、ここまで書いたことは脱線気味になってしまいましたが、歯科医院経営で考えると「頼りにしていた歯科衛生士辞めると言い出す」とか、昔なら歯科医師会の先輩への敬意も働き、暗黙の了解やルールがあって、一定の距離を保って開業していたはずが、斜め向かいに最新設備と美しい外観、さらには歯科医院離れしたマーケティングスキル(広告・広報戦略)を持ったクリニックが開業するとか、計画で終わると考えていたトンネルやバイパスが政権交代で急速に開通して人や車の流れが変わってしまうとか・・・そういう事態は十分に起こりえます。
でも、起こりうると想定して戦略を立て、準備をし、さらにプランB(代替案)や保険を掛けておくことが出来れば、時間的猶予が生まれたり、適切な経営判断をする心理的余裕が生まれるものです。経営的なセカンドオピニオンを信頼できるメンターに求めたり、解決策を相談出来たりするかもしれません。
資金やマンパワーを使えるのはいつなのか?
何かをしようとすると、必要になるのが「資金」
簡単に言えば「お金」です。
宣伝しようとすれば、広告費が掛かるし、サービスを充実させようとすれば、新しい医療機器や人材を雇う費用が掛かるのは当たり前のことです。
でも、予約を断る必要があるくらいに流行っている時ならどうでしょう?
無いのは先生の時間くらいで、金銭的な余裕、運転資金に事欠くことはありません。
黒字経営ならば、試算表や決算書もキレイなはず。必要なら融資を受ければいい。もしかしたら、銀行から借りてくれと提案があるかもしれないですよね。
でも、困っていないから断ってしまったりする・・・
そして、今のままで十分だと考えて、次の一手を打つことをやめてしまうのです。
そうすると、どうなるのか?
衰退が始まるのです。
成長をあきらめると、ビジネスは必ず滅びる
歴史をみると、アレキサンダー大王や日本なら豊臣秀吉のように、あまりに無謀な戦いを続けて滅びる例は確かにあります。
しかし、経営の基本的な原則として、「もうこれで十分、あとは維持だけ出来ればいい」と考え始めた途端、売上の減少や市場の変化に対応できなくなり、急速に衰退が始まるということがあります。
常に一手先を見据えて、戦略を練り、適切な戦術を使って攻めることが重要なのです。
もし、攻める時期でないことが明らかな場合には、内部の強化をすることです。組織を強化したり、有事に備えて備蓄を増やしたり、城の壁を強化したり、秘密の逃げ道をつくったりするようなことです。
歯科医院なら、スタッフのコミュニケーションを深め、組織を強固にしたり、顧客リスト(患者名簿)を整備して、既存の患者さんに感謝の気持ちを伝える手紙を出したり、上位20%の患者さんを招待する「食事会」を企画したりということが考えられます。
うまく行っている時にしか出来ないことは多いものです。もう一度、今なら出来ること、今しかできないことをリストアップして、チェスの駒を優位に添加してみてください。
チェックメイトを目指すことをやめてしまったら、敵は一気に攻め込んでくるものなのです。
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