「寒露」(かんろ)からの15日間【マンネリ歯科に変化をもたらす七十二候(しちじゅうにこう)17】

二十四節気の17番目「寒露」(かんろ)

2023年の「寒露」(かんろ)は、10月8日

秋が深まり朝晩の冷え込みや吹く風に冷たさを感じる頃、二十四節気は「寒露」を迎えます。
暦の上での季節は「晩秋」となりますが、先週あたりまで暑かった今年の感覚ではまだ秋に入ったばかりという感じですね。

二十四節気では、「寒露」の他、「白露」にも「露」の文字が見られます。
大気が冷えて草木に露が見られるようになるのが「白露」、その大気がさらに冷えて、降りた露が冷たくなるのが「寒露」です。
「寒露」の次は「霜降(そうこう)」となっています。
露から霜へ、秋から冬へ、季節の変化が2文字で的確に表現されているのに感心してしまいます。

 

秋の味覚「栗」の楽しみ方

サンマやマツタケなど秋の味覚が次々に旬を迎える時期ですが、こどもからお年寄りまで食べられ、親しまれているのが「栗」ではないでしょうか。
毎年栗拾いに出かけ、栗ご飯や栗きんとん、茹で栗にして楽しむ…という人もおられるかと思います。

国産の栗は中国やヨーロッパの栗と比べて大きく、風味が良いといわれています。
渋皮が剥きにくいため外国産のような焼き栗には適していませんが、渋皮にはポリフェノールの一種である「タンニン」が豊富に含まれています。
剥かずに渋皮煮などで楽しむのも良さそうですね。

また、栗にはビタミンCも豊富に含まれています。
ビタミンCは熱に弱いですが、栗に含まれるビタミンCは、加熱しても壊れにくい特徴があります。
この時期は空気の乾燥や朝晩の冷え込みで体調を崩しやすいので、旬の食べ物から積極的にビタミンCを摂取して免疫力を高めておきましょう。
ちなみに、同じく旬を迎える柿も、ビタミンCの宝庫と呼ばれています。
美味しい栗や柿を食べて、毎日元気に患者さんをお迎えしましょう。

 

それでは今回もいってみましょう・・二十四節気シリーズ、#17

「寒露」

 

【初候】こうがんきたる(鴻雁来

雁

寒露の初候である「鴻雁来(こうがんきたる)」は、雁(がん・かり)が冬越しのために北から渡ってくるという意味です。

冬を日本で過ごす渡り鳥を「冬鳥」と言い、他にはカモや白鳥などがいますが、やはり冬鳥代表は「雁」ではないでしょうか。
その年に初めて訪れる雁のことを「初雁(はつかり)」と言ったり、渡ってくる時期に吹く北風を「雁渡し(かりわたし)」と言ったりするところからも、雁はまもなく訪れる冬の使者である、という感じがしますね。

 

【次候】きくのはなひらく(菊花開)
菊の花
寒露の次候である「菊花開(きくのはなひらく)」は、文字通り菊の花が咲き始める頃という意味です。

例年、10月半ばから11月にかけて、全国各地で「菊まつり」や菊の品評会が開かれます。
この時期に空が青く晴れ渡る様子を「菊晴れ」と表現し、菊の花見をすることを「菊見(観菊)」と言うそうです。
菊晴れの空のもと、菊見に出かけるのは、秋ならではの楽しみですね。

菊の花は「エディブルフラワー(食べられる花)」としての楽しみもあります。
食用として販売されているものに限りますが、ぜひ上品な香りとほろ苦さを、サラダやおひたしなどでお楽しみください。
日本酒に菊の花を散らした「菊酒」もいかがでしょうか。

【末候】きりぎりすとにあり(蟋蟀在戸)

 コオロギ

寒露の末候である「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」ですが…写真をご覧になって、「あれ?」と思われた方もおられるのではないでしょうか。
どう見ても「キリギリス」ではなく、「コオロギ」ですね。

この「キリギリス・コオロギ」問題は平安時代にまで遡ります。
平安時代に「キリギリス」と呼ばれていたのは、「ツヅレサセコオロギ」という、現在でもよく見られる普通のコオロギだと言われています。

江戸時代の『貞享暦』七十二候では、実態に合わせたのか「こおろぎとにあり」と言う読み方になっていたのですが、『宝暦暦』以降は現在の「きりぎりすとにあり」で定着したようです。

秋の夜長に、「蟋蟀」は「きりぎりす」と読むが「コオロギ」のことであったという平安の時代を思いつつ、虫の音を楽しむのもまた一興ですね。

受付にコオロギなど秋の虫をお迎えする、というのも飽きない歯科医院の工夫としては良さそうですが、虫嫌いのスタッフや患者さんには敬遠されてしまいそうですね。
虫の音を楽しむ風情のある話題から話が変わってしまいますが、近年「昆虫食」が注目されているのはご存知でしょうか。
昆虫食の文化は世界中にありますが、その中でもコオロギは一般的に食べられているものの一つだそうです。

「虫を食べるなんて!」「可哀想!」と思うでしょうか。
それとも、「食べてみたい!」「面白そう!」と思うでしょうか。
昆虫食が話題になっているのは、食糧危機の解決手段として国連が推奨しているから、という側面があります。

栄養面で見るとコオロギはとても栄養価が高く、粉末にした場合は、同じ重量の牛肉と比較してタンパク質が2倍にもなり、牛乳以上のカルシウムやアミノ酸が含まれ、さらに鉄分やオメガ3脂肪酸も豊富に含まれています。
「コオロギせんべい」が発売されて話題になりましたが、ネット通販では「コオロギ柿の種」や「コオロギビール」なども続々商品展開され始めています。

「未来食」としての可能性を秘めている「昆虫食」については、好き嫌いが分かれそうな話題ですので、相手の許容範囲を見極めつつ、ネタの一つとしてご活用ください。


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